猫の駅長がいる和歌山電鐵貴志川線

【訪問】2010年10月04日
【初稿】2013年01月06日

どうも、新年明けましておめでとうございます。今年もnaka-sta駅務記録をなにとぞよろしくお願いいたします。

新年一発目の記事は、和歌山駅から東へ向かい、紀の川市の貴志駅を結ぶ和歌山電鐵貴志川線について。

この路線は、三毛猫「たま」が終点の貴志駅の「スーパー駅長」としていることで観光客を集めている路線。1/5に就任6周年記念式典が開かれ、とうとう「社長代理」まで上り詰めたそうです。

たま駅長、「社長代理」に昇格 和歌山電鉄で式典

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0500W_V00C13A1000000/

そんな和歌山電鐵貴志川線を、昨年10月に訪れる機会がありましたので、その報告を含めてご紹介を。

貴志駅駅長室。運が良いと駅長が席についてくれる。

はじめに

貴志川線は、2006年3月末まで関西の大手私鉄、南海電鉄の運営であったが、乗客減から廃止議論となり、地元支援のもと、岡山で路面電車を運行する両備グループ傘下へ入り、和歌山電鐵貴志川線として再スタートした路線。

沿線に大きな観光地があるわけでもなく、車両も南海電鉄時代から同じ車両が使われているのだが、地元の足として機能させつつ、外から観光客を呼ぶために様々な取り組みが行われている。

駅のそばに居た猫を「駅長」に

冒頭でも紹介したが、貴志川線の終点貴志駅には「スーパー駅長」として三毛猫の「たま」がいる。この猫は駅前の商店が飼っていた猫を駅長として迎えている。

沿線に大きな観光資源がなかった貴志川線だったが、終点の「ねこ駅長」を中心に話題となり、会社も2008年に「スーパー駅長」、2009年には「執行役員」、2011年には「常務執行役員 和歌山県国際観光客招き担当」の肩書きを与え話題を提供。さらには和歌山県も和歌山県知事名で、2008年に「第 1 号和歌山県勲功爵(わかやまでナイト) 」の称号を授与し、2011年の常務就任時には「和歌山県客まねき大明神」を授与したりと盛り上げている。

話題が観光客を呼び、観光客がくることで話題をつくるという循環が生まれている。

その話題のおかげか、終点貴志駅は2010年に新駅舎が建てられている。

新駅舎には駅長室の他、喫茶店が併設されており、「たま」の業績が展示されている。

既存車両の改造で「いちご電車」「おもちゃ電車」、そして「たま電車」

駅で話題が出来た次は車両で話題作りも。新会社となっても、決して余裕があるわけではないので、南海時代からの車両を引き続き使用しているが、1編成を終点の貴志駅周辺がいちごの産地ということで、いちごをモチーフにした「いちご電車」に。

この「いちご電車」、山手線のように、外側の全面ラッピングのようなものではなく、外装も内装も完全にいちご仕様。

外装は白を基調にポイントで赤、内装はシートがいちご柄でなかなかおもしろい。

そして、第二弾として、沿線の模型屋?とタイアップして「おもちゃ電車」に。
こちらは、車内のシートが木製になっていたり、机が設置されたり、ガチャポンコーナーができていたりと、「いちご電車」以上に進化!

いった日は運転していなかったので観る機会がなかったが、たま駅長をモチーフにした「たま電車」も在籍。

地元の足としても確実にスピードアップ!

外から観光客を呼ぶ施策を中心に紹介したが、地域の公共交通機関としての役割もしっかり果たしており、新会社移行当時は600Vだった電圧を1500Vへ昇圧し、平均1分半のスピードアップを実施。これ以外にも増発なども行われており、こつこつと完全がはかられているようです。

現地を観た感想・まとめ

訪れたのが10月初頭の平日であったにもかかわらず、大学生くらいのカップルや中国人と思われる団体客などが貴志駅まで電車で訪れていたので、それなりの観光資源にはなっていると思われた。

また、当然だが、それ以上に地元の利用客も多かったので、地域の足として必要な路線なのだろうと実感できた。

しかし一方で、利用客数は改善傾向であるものの、まだまだ採算ラインまで届いていないのが現状らしく、今後も継続的に運行するためにはまだまだ努力が必要なのだなということも。

時間の都合で、貴志駅を往復しただけなので、途中駅の様子がわからないものの、沿線に運転免許センターなど定期外利用が望める施設はあるので、取りこぼしなく普及につとめてゆくしかないのかなぁと思ったり。

猫の駅長はかわいいので、和歌山へお越しの際は是非和歌山電鐵貴志川線で貴志駅へ!

たま駅長ついに社長代理に昇進!

https://www.wakayama-dentetsu.co.jp/2013/01/05/%e3%81%9f%e3%81%be%e9%a7%85%e9%95%b7%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%ab%e7%a4%be%e9%95%b7%e4%bb%a3%e7%90%86%e3%81%ab%e6%98%87%e9%80%b2%ef%bc%81/

【2015年06月25日追記】

「たま」が2015/06/22に亡くなったとのこと。いつの間にか「社長代理ウルトラ駅長」まで昇進されていた。
ねこから始まる地域活性化という点では、非常に功績を残されたねこかと。
お疲れ様でした。


【2020年04月20日追記】

日本の路線図を読んで息子が興味を持ったので、ページを再構成しました。

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1件のコメント

「日本の路線図」を読んで4歳の息子と旅行気分に | naka-sta駅務記録 へ返信する コメントをキャンセル

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